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新北海道の花
新北海道の花
新北海道の花

梅沢俊2007

ついに出ました、北海道の花の新版。
このシリーズ、買うのは3冊目です。
前回の増補版1993(鮫島、辻井氏と共著)のとき、帯に「ついに出ました。「究極版」です。この1冊でもう大丈夫!」と書かれてましたが、
今回は
「この一冊で満足!?」すこし出版側の自信が後退してる気がしますが、
内容はそんなことありません。ほぼ完全リマスター。
増補版でめんどくさかった、+46種の追加分(結局そっちも見るはめになる)などもなく、すっきりと本文中に配列。
花の写真も、似た種の見分けにクローズアップ写真を使うなど、
前回よりは見やすくなっています。
収録種数も増えて、北海道の普通の山でみられる植物がだいたいのってる図鑑(だいたいのってないと、似た種があってもわからない。全国の図鑑だと、明らかに分布してない種も載っていて面倒)として、梅沢氏の目標にさらに一歩近づいたのではないか、と推察されます。
ああ、スミレが増えてて、いいです。
マニアックな面では、学名の帰属する属名など、あたらしい知見がふんだんに盛り込まれています(エゾツツジの帰属など)。
帰化植物がきちんと原産地つきで表示されているのも、よいです(これは以前から)。
北海道に住む、または北海道に観光に来る自然愛好家ならば、
この図鑑を買っとかない理由はないでしょう。
北海道内で、どれか一冊だけ、最初の花の図鑑ならば、間違いなくこれです。
前回の版持ってる方にも上記の理由でおすすめできます。

それでもあえてデファクトスタンダードに苦言をもうしあげれば、

1。厚くて重くなった
(これは仕方ないのかもしれません。しかし一方で、イネ科ーカヤツリグサ科や、木本の低木等の目立たない花、マニアックな蛇紋岩地の小さな花:エゾタカネセンブリなどはばっさりと削られているので、まだやりようはある気がします。たとえば高山は別にするとか...高山植物の種数はより多く、専門化した分コンパクトだった「北海道の高山植物」梅沢俊1986(絶版)の改訂版とかに高山分を譲るとか、どうでしょう?
山渓のでは、「野の花」「山の花」は、あまりにも連続的なところをばっさりわけてるので、結局両方持ち歩くはめになりますが、高山とそれ以外なら、わりと不連続に分割できないでしょうか?山渓でも「高山に咲く花」は、わりと他の2冊と分離度が高いような?)

2.近似種の学名表記がない
学名なんて不安定でころころ変わりますが、それでも名前の単位が種なのか、亜種なのか、変種なのか、品種なのか、などという今時点での理解を示しています。近似種にこの表記がないと、その関係がわかりません(これは、近似種をまとめて比較しやすく一項目にまとめたためと思われるが、学名表記に関してだけは前回の図鑑から後退している)。

3.色で配列。
これは人気の秘訣らしいんで、きっとあらたまらないでしょう...
けど、花の色を黄、白、赤、青、緑、目立たないのどれに分けるか、というのはかなり恣意的な問題で、オレンジはどこよ?(梅沢氏的には黄色)、リンネソウは白か赤か?ミヤマアズマギクの花は赤か青か?とかめんどくさい問題をはらみます。また、近縁種が違う色のカテゴリにいれられていると、やっぱり両方見ないといけない。赤青間、白緑間には、もうそんな連中がごろごろしてます。
また、色内では結局、ある体系の仮説に従って配列されていて(もちろん、そうしないと素早く検索不可能)、その知識はやがては必用になると思われ。

4。色内の配列が新エングラー
種や属の学名変更には新知見が盛り込まれているのに、マクロな体系は現在の分子系統により大きな変更を受けたモダンな体系ではなく(たとえばAPG II 2003。たくさんの多系統の科が発見されて、分割:ゴマノハグサ科、ユキノシタ科、ユリ科etc...)、リンネの単純なものから複雑なものへの進化を仮定した(あやまった仮定だったことがすでに示されている)直系の新エングラーの配列、まだ20世紀、1924。せめて螺旋性に配列したたくさんのおしべとめしべを祖先と仮定する、クロンキスト1980sだったらまだ進化史的な現実に近かった(それでもAPG IIの方がよりよいです)。
ただ古くてなじんでいる、というのがエングラー採用の理由ならば(他になにか理由があるわけがないですが)、
なににもなじんでいない初学者向けの図鑑こそ新しい配列の方がよいのではないでしょうか?
もう単なる歴史的体系にすぎないエングラーやクロンキストを、科学史家でもない初学者が一からおぼえるのは徒労に思われます。

もっとも日本ではそんなモダンな体系による図鑑は、まだ一冊もでていません。新しい図鑑でも言及すらされてないのは残念です。
体系はともかく、せめて多系統の科はなんとかしてほしいものです。

そんな体系に興味のある方は、Tree of Life web projectの種子植物のページ(英語)など、どうぞ。メジャーな属は検索でもしらべられます。
| 図鑑 | 14:22 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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